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ストレスチェックの実施者は誰がなれる?
人事担当者が関われない範囲まで解説

公開日: 2026年8月20日 監修: 産業保健師(VITAL SYNC) 読了目安: 約7分

「そろそろストレスチェックを始めないといけないが、うちには産業医も保健師もいない」「人事の担当者が集計まで全部やればいいのでは?」——2028年4月の義務化拡大を前に、いま最も多く寄せられる質問です。
結論から言うと、ストレスチェックは誰でも実施できるものではなく、法令で担い手が決められています。そして、人事担当者が関わってはいけない範囲が明確に存在します。この記事では、実施者になれる人、実施事務従事者との違い、そして自社に有資格者がいない場合の現実的な選択肢を整理します。

実施者になれるのは、この人たち

ストレスチェックの「実施者」になれるのは、次の資格を持つ人に限られます。

資格研修の要否
医師不要
保健師不要
歯科医師厚生労働大臣が定める研修の修了が必要
看護師同上
精神保健福祉士同上
公認心理師※研修要件の扱いは最新の規定をご確認ください

つまり、人事担当者・衛生管理者・総務部長といった立場の人は、資格がなければ実施者にはなれません。事業者(会社)自身も実施者にはなれません。

なお指針では、その事業場の産業医が実施者となることが望ましいとされています。日頃から職場を知る医師が担当するほうが、判断の質が上がるためです。

実施者は「何を決める人」なのか

実施者は、単に検査を配る人ではありません。次のような専門的な判断を担います。

これらは医学的・専門的な判断を含むため、資格者に限定されています。「誰がやっても同じ」ではないのです。

実施事務従事者との違い

実務でよく混同されるのが、実施事務従事者です。

 実施者実施事務従事者
資格医師・保健師等が必要資格は不要
役割専門的な判断(高ストレス者の選定・面接指導の要否など)実施者の補助(調査票の配布・回収、データ入力、結果の封入・送付など)
守秘義務ありあり(労働安全衛生法上の義務)

つまり、事務作業であれば社内のスタッフが担当できます。ただし——ここに大きな落とし穴があります。

【重要】人事権を持つ人は、実施事務に関われない

解雇・昇進・異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある人は、ストレスチェックの実施事務に従事できません。

理由は明快です。個人の結果を人事権を持つ人が見てしまうと、それが人事評価に影響する(と労働者が感じる)からです。労働者が安心して正直に回答できなければ、ストレスチェックそのものが機能しません。

よくある誤り

人事部長が結果の集計を担当している
総務課長が調査票を回収し、内容を確認している
✕ 「衛生管理者だから問題ない」と考えているが、その人が人事権も持っている

一般的には、人事権を持たない担当者を実施事務従事者に指名し、誰が実施事務従事者なのかを社内で明示しておく運用が取られます。

なお、個人の結果は、本人の同意がない限り事業者には提供されません。この点は高ストレス者への対応の記事でも解説しています。

産業医も保健師もいない会社は、どうすればいいか

ここが本題です。従業員50人未満の事業場には産業医の選任義務がないため、そもそも社内に有資格者がいないのが普通です。現実的な選択肢は3つあります。

① 外部の医師・保健師に実施者を依頼する

産業医事務所や産業保健サービス事業者に、実施者としての関与を依頼する方法です。クラウド型のストレスチェックシステムと組み合わせる形が、小規模事業場では主流になりつつあります。システムが受検・集計を担い、資格者が専門的判断を担う分担です。

② 地域産業保健センター(地さんぽ)を活用する

従業員50人未満の事業場は、地域産業保健センターの支援を無料で受けられます。高ストレス者への医師の面接指導などが対象です。ただし、ストレスチェックの実施そのものを丸ごと代行してもらえるわけではないため、実施の仕組みは別途用意する必要があります。

③ 委託先にまとめて依頼する

ストレスチェックの実施を外部機関に委託する方法です。この場合も、自社の産業医がいれば共同実施者として関与してもらうことが望ましいとされています。職場の実情を知る医師が入るほうが、判断の精度が上がるためです。

外部委託するときの確認ポイント

見積もりや契約の際、次を必ず確認してください。ここが抜けていると「結果を通知して終わり」になります。

費用の内訳についてはストレスチェックの費用相場の記事もあわせてご覧ください。

よくある質問

人事担当者が調査票を配ってもいいですか?
配布だけであれば実施事務従事者として関わることは可能ですが、人事権を持つ立場の方は実施事務に従事できません。人事権のない担当者を指名してください。また、回収した調査票の中身を見ることはできません。
衛生管理者がいれば実施者になれますか?
なれません。実施者になれるのは医師・保健師等の資格者に限られます。衛生管理者の資格は、実施者の要件とは別のものです。
産業医がいなくても、ストレスチェックは実施できますか?
できます。外部の医師・保健師に実施者を依頼する形が一般的です。ただし、高ストレス者から申出があった場合の面接指導を行う医師も、あわせて確保しておく必要があります。
実施者は毎年変わっても問題ありませんか?
法令上の問題はありませんが、経年での比較や職場理解の観点から、継続して同じ実施者が関わるほうが望ましいとされています。

実施者がいなくても、始められます。

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産業保健師(VITAL SYNC)

大学病院看護師・行政保健師を経て、東証プライム上場企業の産業保健師として健康経営・産業保健マネジメントを主導した実務家が監修しています。健康経営エキスパートアドバイザー。

出典・参考: 労働安全衛生法第66条の10/労働安全衛生規則第52条の10/厚生労働省「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」/厚生労働省「心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」。本記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。個別の運用は所轄の労働基準監督署・産業医等にご確認ください。

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